もう飲めばわかりますよ、SAKE TEAの価値は:7T+ 中野賢二
京都・河原町で、日本茶・中国茶などの高級茶葉を取り揃える「7T+」。オーナーの中野賢二さんは、中国政府公認の評茶員の資格を持ち、茶業界で20年近くにわたり活動を続けています。
今回、長年の経験と実績を持つ茶のプロフェッショナル・中野さんに、SAKE TEAの存在意義や味わいの魅力などについてお話を伺いました。
味と香りが、まるで生きている
──SAKE TEAを飲んだ時の感想について教えてください。
初めて体験した時にもお伝えしたけど、このお酒の一番の魅力は「多重構造」であること。
ベタ塗りの味わいではなく、最初に飛び込んでくる味と香りが徐々にフェードアウトしたり、途中で変化したりする。まるで生きているというか、ストーリーがあるんです。
鼻で感じる香りから口当たり、中盤の盛り上がり、余韻に至るまでのストーリーが非常に綺麗。そしてつなぎめが無い。香りと味の両側面でちょっとずつ表情が変わっていきます。
いかにも度数の強いお酒にお茶のフレーバーをまぶしました、という類のものではなくて、緻密に味と香りの設計がされている。
そして、真剣にお茶とお酒の世界と向き合って造り上げてきた想いが“ちゃんと伝わる”というのがこのお酒の魅力です。
重なるストーリー、生まれる世界
──お茶とお酒には、ある共通点があるとおっしゃっていました。
いわゆる“いいお茶”には、味と香りにストーリーがあるんです。それは“いいお酒”も一緒。そしてSAKE TEAは、お茶とお酒の両方が持つストーリーが重なり合うように上手く融合されています。グラデーションが非常に豊かですよね。
そしてお茶屋的に言うと、お茶とお酒のどちらにもウエイトが偏っていない。お茶を楽しむときの心と、お酒を楽しむときの心の両方を満たしてくれます。
よく目にするのは、お酒寄りのお茶酒ですよね。これまで抹茶のビールとか色々飲ませてもらったけど、やっぱり味はビール。酒も酒。だけどこれは初めてどっちでもない味わいで、一つの世界が作り上げられています。
だから完成してますよ。本当にシチュエーションが思い浮かびますし、どっかのロッジの焚き火の前でSAKE TEA飲みながら肉焼けるのを待つとか、そういう想像を掻き立てられます。
赤ワインよりもきめ細かく、心地よい
あとぼく思うのが、アルコールの心地よさと、お茶特有のきめ細かいタンニンの心地よさの両方がありますね。赤ワインよりもきめ細かい。
口の中でずっと残るタンニンの心地良さが、ダージリンセカンドフラッシュとかのしっかり発酵させた紅茶を飲んだ時の感覚と似ています。
心地よい渋味のお酒って無いんですよね。カンパリとかあるけど、あれは苦味。だからぼくはそこに需要があると思います。
お酒好きの人が普段とは違う味を求めて飲むのも考えられるし、お茶好きの人が普段以上にリラックスしたい時に飲むのも考えられます。
あとはスイーツと合わせて飲むのもいいですね。いやあ、お茶のタンニンって心地よいんだね。
真向勝負を挑んでいる凄さ
──SAKE TEAに多大なる価値を見いだしていただき、ありがとうございます。
ぼくは、このお酒が本当の意味で新しい体験を届けているところに価値があると思います。だけどそこには、新ジャンルとして市場を切り開いていく大変さがある。
これが例えばリキュールや日本酒と言えたらどれだけ楽か。けどそうじゃない味わいで真向勝負を挑んでいるのが、このお酒の凄さです。
味は何度も言うけど、もう今までになかったものです。味わい・香りの抑揚が非常に豊かで、本当に緻密に設計されたものだというのがもう飲めばわかりますよ。誤魔化しが一切ない。
非常に繊細だし、口当たりもいいし、余韻も長いし、充足感もあるし、ストーリーもあるし。もう非の打ちどころがないと思います。
ぼくはソムリエとかバーテンダーの方にこのお酒を飲んでもらいたいですね。やっぱりプロはいつでも本物を探しているし、的確ですよ。
そういう方々に気に入ってもらったり取り上げてもらったりすれば、壁を乗り越えていけると思います。
ぼくも周りに何人かプロの方がいるので話してみますね。「こういう面白いお酒があるよ」と。
(取材・執筆:永安祐大 監修:大愛景子)